2011年8月31日水曜日

蝶の舞う風景

ここは、まるで本当に生きているかのような世界。
見るもの、動くもの全てが、現実味を帯びている。
もう、あなたはこの世界に降り立ったのだろうか。

ふと気がつくと、たくさんのバラに囲まれていた。
この大聖堂が、今までよりも広く大きく見える。

少しだけ足に力を入れて、次の花に移ろうとすると、
体が自然に宙に浮く。
背から広がるように出ている美しい羽。

「こっちよ。早く。」

バラ達の向こうから、一緒に踊っていた彼女の声がした。
羽をはばたかせ、ゆっくりとその声の方向へ飛んでみた。

そこには、白と赤で囲まれたバラの中心に、
いつもと変わりない仲間達が揃って笑顔を見せていた。
カウンターにいた女性は、黒いドレスを見にまとったかのような
美しい羽をヒラヒラさせ、彼女と一緒に待っていた。

彼女と一緒に白と赤のバラの上で、
身を寄せ合うように立ってみる。

黒い羽の女性は、ゆっくりとその手にもった分厚い本を開き、

「2人は、ここで永遠の愛を誓うのです」

と読み上げていった。

その声に呼応するかのように、
大聖堂では、仲睦まじい2人の男女が、
同じように祭壇の前に立ち、誓いをかわしていた。

ああ、そうだった。
この場所をひらひら舞いながら飛んでいたんだ。
いつも一緒に飛んでいた。
ちょうど、いつもより強い風が吹いて、
行き先がわからなくなったんだ。

ここで見た景色は、全てが本物であり、
その瞬間に起こっていた事実の出来事だった。

時々、巻き起こる風の行方に身を任せて、
ようやく、ここに戻って来たんだ。

そう、ここはあらゆる動物達が、
その幸せを祝う場所。

きっと、バラの影では、
同じように蝶たちも幸せを祝っているかもしれない。

Fin
Celebrate Story
Camel Mint

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